「国内で行き場のないアストラゼネカ製ワクチンを台湾に提供できると薗浦氏が2人に打診。ヤング代表も非常にいいことだと同調。日本はアメリカの了解のもと台湾にワクチンを贈るお墨付きを得た。そこで薗浦氏はすぐに安倍氏に連絡をとった。昨年、コロナ禍でマスクが不足した時や、東日本大震災でも多額の寄付をしてくれた台湾と安倍家は祖父の岸信介元首相時代からパイプが太い。実弟の岸信夫防衛相も日華議員懇談会幹事長を務めている。安倍氏はすぐに菅首相はじめ、各方面の了解を取り付けた。中国の動向を気にする外務省は渋ったが、前首相の声に押され、一気に話が進んだ」(自民党幹部)
安倍前首相の「台湾通」は知られるところだ。台湾は最近、名物のパイナップルが中国の禁止措置などで輸出が減少しているとも報じられている。すると、安倍前首相はFacebookに台湾産パイナップルを並べ、「今日のデザートはパイナップル。とっても美味しそう」と書き込んだ。
安倍前首相の奔走が外交関係がない台湾へのワクチン提供が大きなポイントとなった。台湾は日本のこうした動きに対し、中国の“横やり”を心配してかん口令を敷いていたという。
「新規感染者数の増加、ワクチン供給が遅れで蔡総統の支持率は低下していた。日本からの打診に蔡総統はワクチンが飛行機で台湾に到着するまで外に漏らしてはいけないと、厳命。政府あげて、日本からのワクチン受け入れに備えた」(台湾の政府関係者)
台湾のメディアは4日、日本からのワクチン到着をライブ中継で報じた。台北市の最高級ホテルや高層ビルは、日本への謝意を示すライトアップされるなど、大フィーバー。台湾の日本台湾交流協会のFacebookには、感謝のメッセージがあふれた。
蔡総統もツイッターに「言葉では言い尽くせないほど感謝しています」と投稿した。台湾では早くも「安倍前首相の台湾訪問、熱烈歓迎」という声まであがっている。