そして、菅首相の訪米直前の4月9日、首相官邸で細谷氏と2人で菅首相に面会した。「これからは主体的な日米同盟に変わらなければいけない」と言うと、「よくわかっている。そうせざるを得ないだろう」と、菅首相は前向きの答え方をした。
さらに、(1)民主主義国家間の連携(2)同盟関係の強化(3)インド太平洋地域への関与拡大──を挙げ、「日米同盟がその三つのすべてにおいて鍵となる」と記した提言書を渡し、主体的な同盟への転機だと訴え、菅首相が目指す社会像「自助・共助・公助」を外交戦略に取り入れたらどうかとも提案した。
平和のために日本が主体的に動いていく「自助」が必要だと言うと、菅首相は「反対も相当あると思うが、やらなければいけない」と、強い口調で答えた。
受け身の同盟関係から積極的同盟に転換すると、菅首相が世界にはっきりと示したのが、今回の日米首脳会談だったのである。
田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年生まれ。ジャーナリスト。東京12チャンネルを経て77年にフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた。『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数
※週刊朝日 2021年6月18日号