景気回復に伴い、石油の需要が高まると予想されることから石油元売り大手のENEOSホールディングス、家計の収入減などで資金需要が見込まれる消費者金融大手のアイフルにも注目しているという。

 投資情報誌「会社四季報」が発行されるたび、毎号約2千ページの端から端まで丹念に読み込み、銘柄探しの腕を磨いてきた「複眼経済塾」の渡部清二塾長は、JR東日本や酒類販売・卸のカクヤスグループ、ゴルフ予約サイト運営のバリューゴルフを挙げた。

■「10倍超」楽しみ テンバガー銘柄

 カクヤスグループは店舗を通じた販売だけでなく、居酒屋をはじめとする業務用の卸・販売事業も手がけている。居酒屋の客足が戻れば取扱量も増える。バリューゴルフは運営するポータルサイトを通じ、1人からでもゴルフ場を予約できる点が人気で、シニアの富裕層の会員も多い。「外出の制約がなくなれば、一気に業績が上がる可能性が高い」(渡部さん)

 また渡部さんは、株価が将来、10倍以上になる中小型成長株、「テンバガー銘柄」を一貫して追究してきた。テンバガー銘柄としていま目をつけているのは、リブワークとココペリだという。

「リブワークは本や福岡が地盤の注文住宅メーカーです。ネットや仮想現実(VR)を駆使し、住宅展示場や見学会といった従来のビジネスモデルに頼らない販売手法で成長しています。ココペリは、ホームページの作成から補助金の申請といった中小企業向けの経営支援サービスを提供できるプラットフォームを運営し、各地の金融機関と連携して導入企業を増やしています。直近の四季報によると今年3月までの1年で会員企業は3倍超と急成長しています」

 今後も期待できそうな銘柄が目白押しだが、ワクチン相場に「死角」はないのか。相場研究家の市岡繁男さんは、米国の長期金利が上昇することを懸念材料に挙げる。

「米長期金利は景気が改善するのに合わせ、じわじわ上がってきました。今後、バイデン氏の景気対策で米経済が過熱すれば、さらに上がる可能性があります。注意したいのは、米10年債利回りが、10年移動平均線を上回るかどうかです」

次のページ