日経平均株価は今年2月に一時3万円を突破した (c)朝日新聞社
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(週刊朝日2021年6月25日号より)
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 ワクチン接種がようやく軌道に乗り始め、株式市場に熱い視線が注がれている。場当たりで、一貫性のない政府のコロナ対応に振り回されてきた企業や消費者が、徐々に日常を取り戻し、「コロナ後」を見据えた経済活動が進むと見られるからだ。「ワクチン相場」で狙い目の銘柄を探った。

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「ワクチンの接種が進むにつれ、株式市場では業績や株価の回復に対する期待が高まっています」

 りそなアセットマネジメントのチーフ・ストラテジスト、黒瀬浩一さんはこう話す。

 コロナの感染拡大後、外食やレジャー、ホテル、観光、鉄道や航空といった業界は営業の自粛や休業、時短営業や大幅な減便、相次ぐ予約キャンセルといった事態に見舞われ、業績が急降下した。たび重なる緊急事態宣言で経営は今なお厳しい。

 だが、ワクチンの接種が進んだことを手がかりに、こうした企業の株価も値を戻しつつある。

 2月に医療従事者向けから始まったワクチン接種は、今月21日から、65歳未満の人も含めた職場や大学での接種が始まる。9日時点の接種回数はのべ2千万回超。少なくとも1回接種を受けた人は1500万人余りで、人口の12%に達した。

 6割超の英国や5割超の米国に比べれば、依然、決定的に遅れている。とはいえ、接種が進むのに合わせて、国内の経済活動が正常化するとの期待が膨らんでいる。

「ワクチンは感染収束に向けた決め手の一つ。『リオープン(経済再開)』の象徴的な位置づけでもある。もちろん、株価の上昇は米国や中国の経済回復など他の要因もありますが、接種のスピードはこれからさらに加速する。業績や株価の落ち込みが大きかった会社ほど、反発の大きさがより強く意識されるでしょう」(前出の黒瀬さん)

 このところ値上がり率が大きい銘柄の上位には、東京都内を中心に和食の「権八」や洋食の「ラ・ボエム」などの飲食店を展開するグローバルダイニングや、ブライダル大手のテイクアンドギヴ・ニーズなど、コロナ禍で苦戦した会社が顔を出す。

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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