それだけ先発投手が役割を果たしているチームは強い。「クオリティー・スタート」という言葉がある。これは年間162試合を戦い、先発投手も中4日や5日で回るメジャーで生まれた言葉だ。「先発投手が6回以上投げ、自責点3点以下」を指す。つまり、勝つこともさることながら、6回以上を投げてくれる投手が貴重ということだ。
だが、日本は中6日が主流である。それでは甘い。せめて7回、120球だろう。ソフトバンクの工藤公康監督も「もう少しのばして7回くらいでいいんじゃないですか」と話しているが、そのとおり。長いイニングを投げるためには何が必要か。そこを突き詰めていくことで、先発投手は成長する。若い投手には特に考えてほしい。「全力で6回までゼロに抑えれば」といった考えは、先発ローテーションをつかむまででいい。
若い投手で1試合を投げ切る選手がどんどん出てこないと。田中将大、前田健太(ツインズ)、ダルビッシュ(パドレス)、菅野智之(巨人)……。球界を代表する投手は、何度も完投してきた投手たちである。
東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝
※週刊朝日 2021年6月25日号