西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修氏が、プロ野球の交流戦について語る。
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こんな光景を見られるようになったかと感じた。ゴルフの全米女子オープンで、19歳の笹生(さそう)優花(ICTSI)と22歳の畑岡奈紗(アビームコンサルティング)がプレーオフを行い、笹生が優勝した。
2019年AIG全英女子オープンの渋野日向子、今年のマスターズの松山英樹、そして笹生と日本選手がメジャー大会を制覇している。誰かが道を切りひらけば、必ず続く者が出てくる。ゴルフ界にとって、大きな勢いを得ているよね。
予想もしなかった光景といえば、プロ野球では交流戦前にセ・リーグの5位だった中日、そして同最下位だったDeNAが、交流戦の首位争いをしている。交流戦は09年以外、すべてパが勝ち越しており、セの下位球団は力関係からしても苦戦を予想していたが、健闘している。
その中でも中日に注目している。投手の防御率が交流戦で3点台。柳裕也がエースの働きをみせている。さらに昨年の沢村賞、大野雄大がいる。この左右の両輪がしっかりローテーションの中心で回れば、大きな連敗はしないだろう。
巨人は交流戦で、ちょっと救援投手の登板過多が目立っている。これも、原監督が東京五輪期間中の中断期間を見越したものだろうが、疲労が濃くなると、1~2週間程度のリフレッシュでは回復しないこともある。その意味でも、ここまで先発投手がどれだけ試合を作り、救援陣の負担を減らせたかというのは、シーズン終盤の戦いに大きな意味を持つ。
パ・リーグは開幕前から「楽天が経験値の高い先発投手がしっかり回ったら強い」と指摘したが、そのとおりの展開となっている。涌井秀章、岸孝之、則本昂大に田中将大、ルーキーの早川隆久。はっきり言えば、球数が100球前後になるまで、交代する必要のない先発陣である。今年は九回打ち切りだから、投手交代の時期も早まっているが、楽天の先発陣なら、我慢していい。投手出身の石井一久監督も心得ている。