今回の記者会見に前日(17日)、尾身会長が率いる分科会は、緊急事態宣言の解除に伴い、政府が提案したイベントの収容定員を上限1万人にする案を押し切られるように了承した。政府はこの流れを受け、「最大1万人」で東京五輪の観客上限を検討している。尾身会長のトーンダウンはこのときから始まっていた。

 そして違和感を強くしたのは、その分科会の場で尾身会長が政府に「科学とICTを用いた対策の提言」なるものを提出したことだ。五輪リスクに関する提言が注目を集めている最中、なぜ、突如としてICT提案が出されたのか。その時の分科会になぜか、DeNA職員も同席し、ICTについての質問に答える場面もあった。分科会関係者はこう打ち明ける。

「分科会に呼ばれてもいないDeNAがくっ付いてきたこと自体、違和感がありました。尾身さんのサポート役なら他にもIT企業はいくらでも大手がいます。実は尾身さんがいま、ご執心なのは、ICT対策です。具体的に言うとQRコードを使い陽性者の行動履歴を把握する新たなシステムを構築するというものです。尾身さんと慶応大学の同窓で元厚生労働省幹部、今はDeNAのCMO(最高医療責任者)に天下っている三宅邦明氏らとシステムを西村(康稔)大臣や官邸に売り込んでいます。官邸は困惑気味でした」

 記者は冒頭の会見(18日)で、唐突なICT提言に至った理由やDeNAが同席した経緯などを尾身会長に直接、質問した。

 想定外だったのか、尾身会長は「この一年ずっと問題意識があった。(現状では)クラスターのリンク(連鎖)がどうなっているのか、なかなかわからないので…」などとまとまりなく、長々と説明した。

 DeNAが同席した経緯については、「私は座長としてこのシステムに関与している人を知っているので、(QRコードについて)どういう問題があるのか、何かテクニカルな質問があった場合には答えてほしいと、リソースパーソン(中心人物)として呼んだ」と回答した。

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西村大臣に質問をぶつけると意外な回答