立憲民主党・政調会長の泉健太氏(C)朝日新聞社
立憲民主党・政調会長の泉健太氏(C)朝日新聞社
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斉藤りえ氏への応援演説に駆けつけた泉健太氏(左)
斉藤りえ氏への応援演説に駆けつけた泉健太氏(左)

 25日から始まった東京都議選の選挙戦で、応援演説に駆けつけた立憲民主党の泉健太政調会長が「障害者軽視」とも取れる問題発言をしていたことがAERA dot.の取材でわかった。

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 問題の発言があったのは、27日の午前。大田区選挙区から立候補する立憲民主党の斉藤りえ氏への応援演説で、泉氏がマイクを持った際に発せられた一言だった。

 泉氏は、誰ひとり取り残さない社会を目指すという文脈の中で「障害を持つ人が国会議員の中に入ったことで、良くも悪くも変わった」と力説した。斉藤氏は聴覚障害者であり、自身の半生を描いた「筆談ホステス」という著書もある。泉氏は障害者が政治に参画することの意義を強調したかったと思われるが、「良くも悪くも」という発言には聴衆に動揺が走ったという。

 AERA dot.では、改めて当日の泉氏の演説内容が詳細に記された文書を独自入手し、発言を確認した。泉氏の事務所に発言の真意を問うと、泉氏本人がこう回答した。

「ここで言う『良くも悪くも』の『悪くも』は今まで当事者が入らないと変わってこなかった古い議会のことを言っています。今まで変わってこなかった議会が、障がいを持つ方が議会に入ったことで変わったことは、『良い』と捉えることもできるし、障がいを持つ人が入るまでは変わってこなかったという意味では『悪い』というニュアンスです」

 政治ジャーナリストの角谷浩一氏はこの発言について厳しく指摘する。

「この『良くも悪くも』とは、どういう意味で言ったのかを問われるべきです。障害者に対する見えない意識が言葉に出てしまった可能性がある。まして、障害のある候補者の前で『良くも悪くも』と発言したのですから、候補者を応援している人たちだけではなく、多くの人が『悪くも』って何? と感じたのではないでしょうか」

 立憲民主党は「障がい・難病プロジェクトチーム」を立ち上げ、当事者から意見や提言を求め、党の政策に生かす活動を進めている。党の政調会長として不適切な発言だと言わざるを得ない。

「バリアフリーやジェンダー平等の推進など、差別と闘っている人たちに寄り添う政党でありながら、その幹部が党の方針を理解していないと受け取られる発言です。泉氏の勉強不足や無意識から出た発言だとしたら、党の役職を降りるくらいの失言だと思います」(角谷氏)

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