とまあ、なかなか甲乙つけがたいふたり。個人的には、修羅場をくぐり抜けてきた経験値だったり、猿岩石時代に映画で共演した嵐をはじめとする人脈だったりを持つ有吉に軍配を上げたい気もするが、素をさらけ出し、ギリギリを攻める芸風は危険もともなう。その点、上田という安定した相方がいることは有田の強みだろう。
そんな2人にとって、鍵になりそうな存在がマツコ・デラックスだ。有吉とは名コンビだし、有田とは同じ事務所。フリーで人気が出て、仕事が殺到したマツコが、マネジメントを任せたのが設立されたばかりのくりぃむしちゅーが所属する事務所だった。したがって「有田とマツコと男と女」(TBS系)のような番組もまた始まるかもしれない。
マツコのキャラと芸風はジェンダーフリー的な最近のトレンドとも合っていて、相変わらず数字も持っている。年齢的にも、有田が50歳でマツコが48歳、有吉が47歳ということで、ほぼ同世代だ。この3人は昭和のテレビ黄金時代を知っていて、かつ、令和へのアップデートもできているという共通点があり、それが幅広い支持を得られているゆえんだろう。
EXITらの第七世代は、令和へのアップデートはもちろん大丈夫だが、昭和を知らないのでテレビへの熱に乏しい。また、人と人との距離感を大事にする分、愛ある無茶ぶりのような芸は不得手だ。
世の中のテレビ離れを食い止めるとしたら、やはり、有田と有吉の2人が思い浮かぶ。どんなバラエティーでどんな笑いを繰り広げてくれるのか、要注目だ。
●宝泉薫(ほうせん・かおる)/1964年生まれ。早稲田大学第一文学部除籍後、ミニコミ誌『よい子の歌謡曲』発行人を経て『週刊明星』『宝島30』『テレビブロス』などに執筆する。著書に『平成の死 追悼は生きる糧』『平成「一発屋」見聞録』『文春ムック あのアイドルがなぜヌードに』など