宮田:ありがとうございます! 僕は美弥さんのローランを見て、「僕にとってのローランだ!」って、ワクワクしました。アニメとは違うイメージで、でも確かにローランで。僕もアニメのエダマメを意識する必要はないんだな、と思えました。

――エダマメは、“日本一の天才詐欺師”を自称するが、実は真面目でお人好しだ。ローランはそんな彼に「素質」を見いだす。

宮田:エダマメはいい奴のようで悪い奴で、悪い奴のようでいい奴というか、つかみどころがないというか、不思議な人間なんですよね。光と闇が絶妙なバランスで混在していて、でもどこかに芯というか心がある。言葉にすると難しいんですけど、僕自身、何か感じるものがあったんです。だから、「自分じゃない人がこの役やるのは嫌だ」と思ったんだろうな。

美弥:ローランは、最初の頃は特にエダマメさんから見たら憎たらしい部分もあると思うんです。一見クールで飄々としていますが、本当に冷たい人間なわけではなくて、人生の経緯があっていまの立場で生きていると思うんです。彼の心の奥のどこかにある人間らしさや情みたいな、内面的なものを表現できたらいいな、と思っています。

――取材を行ったのは稽古開始直前だった。演出を務める河原雅彦から、オーダーはあったのか。

宮田:僕、初めてお話しさせてもらったときに、開口一番、「自分のダメなところ、いやなところはどこ?」って聞かれたんですよ。河原さん、独創的でとてもおもしろい方ですよね。

美弥:なんて答えたんですか?

宮田:「人に優しくできるのは、人に興味がないからかもしれない」って答えました(笑)。その人のために叱るとか、厳しい優しさってあるじゃないですか。僕、それができないんです。「これは本当の優しさじゃない」って分析してるんですよ。

美弥:深いですね。私は「どうやってローラン演じるの?」と聞かれたんです。河原さんと一緒に作っていくと思っていたので、「自分で定めていかないと」とちょっとどきっとしました。

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