見た人に、「前に踏み出せる」と思ってもらえるような作品に携われたら、とも考えている。
「今回は、いろんなものを“つなぐ役”だと思うんです。生きると死ぬをつなぐ役。伝統や風習を未来につなぐ役。そう考えると、俳優としても、今はバトンをつなぐポジションにいるのかな、と。未来の自分の姿ですか?……ずっと未熟でいたいです。僕、岡本太郎さんがすごく好きなんですが、『自分の中に毒を持て』という本の中に、未熟について『弱い人間とか未熟な人間のほうが、はるかにふくれあがる可能性を持っている』というような文章があって。未熟って言葉はすごくいいなと思う。いくつになってもチャレンジしていたいです」
(菊地陽子 構成/長沢明)
山中崇(やまなか・たかし)/1978年生まれ。東京都出身。代表作は映画「松ヶ根乱射事件」(山下敦弘監督・2007年)、NHK連続テレビ小説「ごちそうさん」(13~14年)、「深夜食堂」シリーズなど。近年の公開作は「あの頃。」(今泉力哉監督)、「あのこは貴族」(岨手由貴子監督)、「泣く子はいねぇが」(佐藤快磨監督)、「おらおらでひとりいぐも」(沖田修一監督)、「宇宙でいちばんあかるい屋根」(藤井道人監督)。
※週刊朝日 2021年7月9日号より抜粋