取り寄せたいろんなエンディングノート
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「もしものときのエンディングノート」(二見書房)
「もしものときのエンディングノート」(二見書房)

 自分の身に万が一のことがあった時に備え、必要な情報を書き記しておく「エンディングノート」。高齢者だけでなく、若い世代にも関心が高まっている。まずは深刻にとらえず、情報を整理してみる。人生をより豊かにするヒントに気づくかもしれない。

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 書店には“終活”を支援する専門コーナーも目立ち、いろんなエンディングノートが売られている。ノートに共通するのは、証明書や預貯金、各種パスワード、人間関係などの情報を書き込む項目。そして、歩んできた人生を振り返ったり、死後の対応についての希望を記したりする項目だ。

 遺言書のような法的な効力はない。決まった形式もないため、自分流に意思を残せる。

「夫は急死だったので、どんな財産があるのか、葬儀に誰を呼んでいいのかなど、とにかくわからないことずくめでした」

 夫を昨年亡くし、自らの終末についても意識するようになったというAさん(77)は語る。

 遺品を整理すると、プライベートな事柄をつづった日記や手帳が出てきたが、「本人がどこまで家族に知られることを想定していただろうと考えると、悩ましい気持ちにもなりました」。

 自分の死後、子どもたちが少しでも戸惑うことのないように、エンディングノートを手にした。実際、項目に沿って書き進めると、自分の人生について“再発見”することも多かったという。

「昔のことを振り返りながら書くうちに、夫と出会った頃の細かな記憶や子どもや孫が生まれた時の喜びがよみがえりました。ノートを作成することで、これまで私に関わってくれた人たちへのありがたみを改めて感じることができました」

 離婚歴のある独身男性、Bさん(48)は、働き盛りで健康な身だが、エンディングノートを買った。

「元気な人でもいつ亡くなってしまうかわからない時代。もし僕が死んで勤め先の仕事に悪影響を与えたり、意図せぬプライベートな情報が漏れたりするのは避けたい。パソコンの履歴から『こんなエッチな動画を好んで見ていたのか』なんて思われたら、死んでも死にきれません(笑)」

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