宇宙船「ユニティー」に搭乗した英ヴァージン・グループのリチャード・ブランソン氏/ヴァージン・ギャラクティックの動画から (c)朝日新聞社
宇宙船「ユニティー」に搭乗した英ヴァージン・グループのリチャード・ブランソン氏/ヴァージン・ギャラクティックの動画から (c)朝日新聞社
※株価は7月15日(菱友システムズは14日)の終値。いずれも原則100株単位で買う(AERA 2021年7月26日号より)
※株価は7月15日(菱友システムズは14日)の終値。いずれも原則100株単位で買う(AERA 2021年7月26日号より)
AERA 2021年7月26日号より
AERA 2021年7月26日号より

 ヴァージンやアマゾン、テスラ──。名だたる創業者が目指すのは宇宙だ。投資家たちも彼らの動きに刺激を受け、宇宙に目を向け始めた。AERA 2021年7月26日号では、海外で注目される「宇宙関連銘柄」を取り上げた。

【図】日本にもたくさんある「宇宙関連銘柄」

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 7月20日。ネット通販の世界最大手、米アマゾンの創業者ジェフ・ベゾス会長が宇宙に旅立つ。自身が設立した宇宙開発企業「ブルーオリジン」にとって、初となる有人宇宙飛行に参加するのだ。AERA本誌(19日発売)をご覧のころには、その成否が明らかになっているだろう。

 ところが、その動きに先んじたのが英ヴァージン・グループを率いる実業家サー・リチャード・ブランソン氏だった。7月11日、やはり自身が起こしたロケット開発会社「ヴァージン・ギャラクティック」の宇宙船に乗って、いち早く宇宙飛行を達成した。ブランソン氏は数分間の無重力状態を体験し、無事、地球に帰還した。今回の成功を踏まえ、来年から宇宙観光ビジネスを本格的にスタートさせる方針だという。

 電気自動車最大手の米テスラのイーロン・マスクCEO(最高経営責任者)も宇宙に飛び出す準備を進める。前出の2人よりも彼方(かなた)に行く計画をしており、滞在時間も数日に及ぶ。さらにマスク氏が構想しているのは、宇宙飛行技術を「超高速飛行」へ応用することだ。

 いったん宇宙空間まで上昇して地球上の目的地に向かうという経路のフライトだ。実現すればロンドン─ニューヨーク間がわずか30分弱で移動できる。宇宙観光ビジネスとともに、大いに夢は膨らむ話といえよう。

■「宇宙銘柄」も急上昇

 こうして世界の名だたる実業家が熱いまなざしを向けていることから、株式市場でも「宇宙関連銘柄」にスポットが当たっている。なかでも米ニューヨーク市場に上場するヴァージン・ギャラクティックの株価は、ブランソン氏の試験飛行の前から高騰していた。

 残念ながら飛行後は株価が急落したが、それは成功を期待して先回って株を買った投資家たちが、「利益確定の売り」を狙ったからのようだ。ちなみに同社は、宇宙旅行会社として2019年10月に世界で初めて上場し、何度となく株価の急騰が繰り返されてきた。

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大西洋平

大西洋平

出版社勤務などを経て1995年に独立し、フリーのジャーナリストとして「AERA」「週刊ダイヤモンド」、「プレジデント」、などの一般雑誌で執筆中。識者・著名人や上場企業トップのインタビューも多数手掛け、金融・経済からエレクトロニクス、メカトロニクス、IT、エンタメ、再生可能エネルギー、さらには介護まで、幅広い領域で取材活動を行っている。

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