株式市場で注目されたのは、ヴァージン・ギャラクティックだけにとどまらない。試験飛行の成功直後、宇宙関連銘柄の株価が急伸している。航空宇宙向け無線通信システムや人工衛星搭載用のアンテナを製造するL3ハリス・テクノロジーズ、小型ロケットを手がけるアストラ・スペースがその一例だ。

 ほかにも米国には宇宙分野で飛躍中のベンチャーが多い。その背景について、auカブコム証券チーフストラテジストの河合達憲氏は説明する。

「最先端の開発はベンチャーに任せるというのが米国大手企業の基本的スタンスです。こうした土壌があるため、米国のベンチャーは非常に層が厚く、優秀な企業が続々と輩出しています。バイオベンチャーを例に挙げれば、その構図をイメージしやすいでしょう」

 確かに、新型コロナのワクチンを短期間で開発したモデルナも米国の創薬ベンチャーだ。株式を公開していないベンチャーも多く、マスク氏が率いる宇宙開発会社「スペースX」も未上場だ。今後も、新たな宇宙関連ベンチャーの新規上場が続く可能性が考えられる。(金融ジャーナリスト・大西洋平)

AERA 2021年7月26日号より抜粋

著者プロフィールを見る
大西洋平

大西洋平

出版社勤務などを経て1995年に独立し、フリーのジャーナリストとして「AERA」「週刊ダイヤモンド」、「プレジデント」、などの一般雑誌で執筆中。識者・著名人や上場企業トップのインタビューも多数手掛け、金融・経済からエレクトロニクス、メカトロニクス、IT、エンタメ、再生可能エネルギー、さらには介護まで、幅広い領域で取材活動を行っている。

大西洋平の記事一覧はこちら