だから西村大臣は、菅内閣は本気の本気で新型コロナの抑え込みに取り組んでいるのだ、と国民に強く訴えるために、あのような発言をしてしまったのではないか。

 多くのマスメディアは、慌てて謝罪・撤回などしても、本音はごまかしようがないと糾弾している。

 菅内閣が本気の本気で新型コロナの抑え込みに取り組んでいることを示すためには、どのような手法があるのだろうか。

 私は、あえて7月18日放送の「激論!クロスファイア」に西村大臣の出演を強く求めたが、西村大臣は当然のように断った。

 だが私は、「菅内閣は多くの国民から強い不信感を持たれ、大きな危機だ。その危機感から、西村大臣はあのような発言をしたのだろうが、最も苦しんでいるのは飲食業界であり、今必要なのは思い切った支援金を早く出すことだ。そのためにこそ、西村大臣は頑張るべきではないのか」と強調し、何としても出演して、それを国民に約束してほしい、と説得した。

 西村大臣は、一度は承諾したのだが、ぎりぎりになって「誰もが強く反対するので、今回は勘弁してほしい」と言ってきた。誠に残念だが、菅首相には飲食業界を始め、コロナ禍で苦しむ企業や職を失った国民たちに、早く思い切った支援金を出すよう強く求めたい。

田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年生まれ。ジャーナリスト。東京12チャンネルを経て77年にフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた。『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数

週刊朝日  2021年7月30日号

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