「100メートルを超えるような大きい生物が、あれだけ素早いスピードで動くには大量の酸素が必要です。なので、2体とも非常に優れた呼吸システムを持っているといえますね。ゴジラに関してはいえば、爬虫類なので肺呼吸と鳥類のような気嚢器官(肺の補助器官)を持っている可能性が高い。おそらくそれが上腕骨や大腿骨などの骨の中にまで入りこんでいるのでしょう。あと、背ビレのような突起がかなり大きいのは、表面積を増やし、皮膚呼吸と放熱をするために進化したと推測します。ただ、コングに関しては霊長類なので、気嚢器官を持っているとは考えにくい。でも、肺呼吸だけでは酸素が足りなくなる。いったい、どうやってあんなに動けているのかは、ちょっとこれだけの情報では判断が難しいですね」
また、町田さんは、ゴジラを環境によって体温が変化する「変温動物」、コングを環境が変化しても体温を一定に保つ「恒温動物」だと推測。ちなみに恒温動物は、つねに身体の中(多くは細胞)で熱を作り出しているため、コングのような大きな身体で激しい運動をしてしまうと、放熱が追いつかないため、熱がたまりすぎ、数分で脳死する可能性もあるという。
つまり、戦いの時間が長引けばコングは死んでしまうので、ゴジラが有利だろうと町田さんは推測。しかし、前述したように、町田さんはそもそも「ゴジラとコングは映画のように戦うことはありえない」と語っている。それはなぜか。
「現生種において、人類以外の霊長類は、蛇や大型のトカゲのような爬虫類が大嫌いです。なので、コングはゴジラを見た時点で絶対近づかない。おそらくゴジラと100~200メートルほどの距離はとるはずなので、映画のように接近して殴り合うような戦いには、まずならないでしょうね。もし、攻撃したとしても、遠くから石を投げたり、長い棒でゴジラを突っつくくらいが精一杯。場合によってはゴジラの尻尾を見ただけでも、逃げ出す可能性もあります」
■食べる必要ない生物に接近戦しない
では、爬虫類であるゴジラは、どんな反応をするのか。
「ゴジラに関しても、尻尾をバンバンと動かして、口をあけて威嚇などを行う程度でしょうね。ボクサーでいえば、尻尾はジャブのようなもの。ゴジラもコングと同じで、まずは距離をとるはずです。ゴジラは、コングを食べて生きているわけではないですからね。食べる必要のない生物にわざわざ接近して戦うっていう行動は基本的にはとらないと思います」
だが、霊長類らしきコングなら自分の家族や仲間などが危険にさらされるような状況に陥れば、相手に接近して戦う可能性もゼロではないという。では、そうなったと仮定して、ゴジラとコングは、どちらが強いのか。