金メダルが期待される桃田賢斗(c)朝日新聞社
金メダルが期待される桃田賢斗(c)朝日新聞社
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 今日25日にバドミントンでの男子シングルスで桃田賢斗が登場する。26歳とまだ若いが、これほど波瀾万丈の5年間を過ごしたアスリートはいないのではないだろうか。

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 5年前のリオデジャネイロ五輪。金メダル候補として期待が高まったが、大会直前に違法賭博に手を出したことが発覚し、出場断念に追い込まれる。1年間の無期限停止処分を経て復帰。19年は国際大会で11回優勝をマーク。ギネス世界記録に認定され、同年の世界最優秀選手に選出されるなど、世界ランキング1位に立ち続けた。

 だが、昨年1月にマレーシアの国際大会で優勝し、空港に向かう帰りの最中で衝突事故に見舞われ、全身打撲などのケガを負って現地の病院に入院。日本に帰国後、「練習時にシャトルが二重に見える」と訴えたため精密検査を受けたところ、右眼窩底骨折が判明した。選手生命の危機に見舞われたが、緊急手術を受けてリハビリを乗り越え、復帰戦となった同年12月の全日本選手権を制した。

 優勝は飾ったが、本来の体のキレにはまだまだ遠い。実戦を積み重ねて試合勘を養うことで状態を上げるしかない。しかし、再び大きな試練に見舞われる。今年1月に新型コロナウイルスに感染していたことが判明。3月の全英オープンに復帰したが、世界ランキング10位のリー・ジージャ(マレーシア)にストレート負けを喫する。棄権以外で敗れたのは、19年10月の全仏オープン以来1年4カ月ぶりだった。

「良い時の桃田を見ているので、その時に比べると万全には程遠い。サウスポーから放たれるジャンプショットも力強さに欠けるし、持ち味のディフェンスも足がついていかず返せない場面が度々見られた。体力がまだ戻っていないのでしょう。ショットの精度も欠いていた。新型コロナの影響で国際試合も中止になり、東京五輪まで4カ月のブランクがあったのも不安ですね。桃田に一番必要なのは実戦でしたから。本来の力を発揮すれば能力は断トツです。圧倒的な力を見せつけて金メダル獲得の可能性があるでしょう。一方で、体力や技術、試合勘を取り戻せないままだとメダルどころか、早々と負けるかもしれない。相手うんぬんでなく、状態をどこまで取り戻せるかにかかっていると思います」(スポーツ紙のバドミントン担当記者)

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