東京五輪でスケートボードを初めて見た人も多いのではないだろうか。競技が始まると、SNSでは「見ていたら夢中になった」、「この競技は面白い」と視聴者から多くの反響が集まった。
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手すりや階段など街中をイメージしたコースに、ジャンプや回転などを行うストリートは、各45秒間を2回滑る「ラン」と、1カ所を選び大技を5回繰り出す「ベストトリック」で40点満点で競う。東京五輪の会場・有明アーバンスポーツパークで同種目初の金メダルに輝いたのは、地元の江東区で生まれ育った堀米雄斗(22)だった。
堀米は6位で予選を突破すると、決勝の「ラン」で2.22点差の4位に。首をかしげて納得いかない表情だったが、集中力を最大限に高めた「ベストトリック」で圧巻のパフォーマンスを見せる。難易度の高い技を出し、3回目に9.35で暫定2位に。4回目に9.50で首位に立つと勢いは止まらない。5回目も9.30と高得点をそろえ、頂点に輝いた。高度な技術はもちろんだが、周囲が重圧で失敗する中、見事にトリックを決める強靭な精神力は見事だった。
視聴者の心をつかんだのが、金メダルを獲得した堀米のインタビューだった。
「シンプルなんですけど、本当に凄いうれしいです。地元江東区で生まれて、ずっとスケボーだけして五輪が4年前に決まって…最初は4年後が遠すぎて、出られるか分からなかったですけど、自分のやっていることを積み重ねていくうちに五輪が近づいてきて、本当に今日この五輪の場所に立ててうれしいです。決勝に残っているメンバーは世界のトップスケーターたちが集まっていたので、自分の出来る事の限りをしようと思ったんですけど、ランでは(ゲーム)メイクできなくて心の中では焦ったんですけど、あきらめていなかったのでベストトリックで切り替えられたのがうれしかったです」
堀米は物腰の柔らかい穏やかな口調で、己を誇示することもない。インタビュー直後にブラジルの選手に祝福されると、抱擁を交わして「Thank you,so much.you too」と健闘をたたえ合った。