前出のテレビ関係者は、「JOCの本音は『文句を言うならIOCに言ってくれ』が本音でしょう。ただJOCも本当に選手のことを考えるなら、選手の体調を配慮して時間帯の変更を声高に主張するべきだった。五輪を東京に招致した時から、猛暑の時間帯に試合を行ったら選手の体調に異変が生じることは分かっていたはずです」と指摘する。

 この五輪大会ではテニスで、「ヒートルール」が導入されている。一定の気温を超えると第3セット前に10分間の休憩時間が設けられているが、現地で試合を撮影するカメラマンは「焼け石に水です」と話す。

「テニスは1試合の試合時間が平均2時間前後で、30度を超える気温の中、ハードコートで照り返しも強いので昼すぎの体感温度は40度を軽く超えます。私たちは写真を撮るだけでフラフラしているのだから、走り回る選手たちが熱中症になるのは無理がない。10分程度の休憩をとっても解決しません。本当に選手の体調を考えているならば、夕方の3時以降に第1試合を行うべき。選手たちがかわいそうですよ」

「アスリートファースト」の概念はどこに消えたのだろうか。小手先の対応策ではなく、選手たちの声に真剣に耳を傾けるべきだろう。(安西憲春)