TOKYO FMのラジオマン・延江浩さんが音楽とともに社会を語る、本誌連載「RADIO PA PA」。「アナザーエナジー展:挑戦しつづける力‐世界の女性アーティスト16人」について。
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アーティストは鋭い感覚で時代の匂いを嗅ぎ、作品にする。アートを通して僕らは時代の「先端」と「歴史」、そして「現状」に触れることができる。
森美術館の「アナザーエナジー展:挑戦しつづける力─世界の女性アーティスト16人」は72歳から106歳まで、50年以上のキャリアを持つ女性作家の作品展。
NYから帰国中の美術評論家、梁瀬薫に誘われた(僕の従妹だ)。彼女によると「アートは西側諸国の白人男性優位の価値観から始まった」
南米、アジア、東側の女性が注目されたのはここ15年程。この展覧会ではアーティストの年齢と出身地を敢えて打ち出し、「アートを通して挑戦し続ける意味」をインタビュー動画も交え示している。「地球環境、国際政治、ジェンダーの意識がわかるの」
「わからないという状態が私にとっては制作で、新たな冒険をする動機であり続ける」(フィリダ・バーロウ)、「大多数(社会)に『ノー』といわれたすべての人たちに『イエス』というもの」(センガ・ネングディ)……。
「進むためのエネルギーは自分の中にあり、それが良いか悪いかを前もって知ることはない」というリリ・デュジュリーは、時間をテーマに創作している。粘土をこねた手の動きが見てとれる彫刻のキャプションには「手が触れたものは全て、私たちの中に記憶として残る」
スザンヌ・レイシーの『玄関と通りのあいだ』は、NYブルックリンに集った365人の活動家が女性の問題について討論、約2400人がそれを傍聴したパフォーマンス作品。「性別、人種、フェミニズムについて議論するアート」だという。
「私は長い間待っていました。『バスを待っていればやがて来る』という言葉があるでしょう。私はバスを一世紀近くも待った」とキューバ生まれで106歳のカルメン・ヘレラは語る。