瀬戸にとって悔しさの残る五輪になったが、テレビ局関係者は「萩野に救われたのではないか」と話す。

「瀬戸は自分が『ヒール』になっているという認識があったのでしょう。会場で見る表情もうつむき加減で元気のないように見えた。でも長年のライバルで特別な絆で結ばれている萩野と最後のレースで泳いだ後はすがすがしい表情だった。萩野もリオから試練を乗り越えて決勝にたどり着いた。瀬戸は萩野の姿を見て泳ぐ意味、泳ぐ楽しさを再認識したのではないでしょうか」

 萩野はレース後、「レースを泳ぐ前から色々なこと思い出して、大也と一緒にずっと泳いできて嬉しかったです」と目を輝かせた。隣で聞いていた瀬戸は何を感じただろうか。水泳人生はまだ続く。チャンピオンの称号が似合う威風堂々の姿をもう一度取り戻してほしい。(牧忠則)