変異株「デルタ株」が流行し、全国的に感染が拡大している。感染爆発を防ぐためには、どうすればいいのか。AERA 2021年8月9日号で、尾崎治夫・東京都医師会会長は、「人流を徹底的に減らすしかない」と訴える。
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――政府は30日、大阪府と千葉、神奈川、埼玉の3県にも緊急事態宣言を8月2~31日まで出し、都と沖縄県の宣言も同じ期間に延長することを決めた。さらに緊急事態宣言に準ずる「まん延防止等重点措置」を北海道、石川、京都、兵庫、福岡の5道府県に適用すると決めた。
東京で流行が拡大すればやがて周辺や関西、北海道や九州へと全国に拡大していくのはこれまでに何度もみた現象で、予測できたはずです。オリンピックが続き、パラリンピックやお盆を控えた今、政治家には科学的に実情を認識し、国民に正しいメッセージを出してもらいたい。
■人流を減らすしかない
ワクチン接種を終えた人が全年代で増える10月か11月には今よりもずっと自由に行動できるようになる、という現実的な見通しを話した上で、感染力の強い変異株が流行する今、感染爆発を防ぐには、昨春の最初の緊急事態宣言のように、娯楽施設や店舗、レストランなどを閉じ、外出しても何もすることがないという状態にした上でテレワークを徹底させてください、と国民にお願いするしかありません。人流を徹底的に減らすしかありません。
とくに高齢者に次いで重症化するリスクの高い40~50代の方は自身を守るためになるべく早くワクチン接種を受け、感染しない行動を心がけて頂きたいです。この世代の中でもとくに糖尿病や高血圧などの持病のある方、BMI30以上の肥満の方、喫煙者は重症化しやすいので注意が必要です。
(構成/科学ジャーナリスト・大岩ゆり)
※AERA 2021年8月9日号より抜粋