林:そうでしたか。
みうら:ある日、管理人のご婦人から「お風呂沸いてますよ」って言われて、お風呂場のドアをガラガラッと開けたら、脱衣場のカゴに女性ものの服が入っていたんです。すりガラスの向こうに人がいる気配がしましたので、あわてて出て、管理人さんに「誰か先に入っておられますよ」って言ったら、「あ、ごめんなさい。林真理子さんが入っておられたんだ」って(笑)。
林:えっ!……(絶句)
みうら:かなりニアミスでしょ? 最初は相合い傘で、次はギリ裸ですよ(笑)。
林:水玉のパンツでした?(笑)
みうら:そこまでは確認してません(笑)。
林:よかった(笑)。みうらさんの『「ない仕事」の作り方』(本屋大賞「2021年発掘部門『超発掘本!』」)を読むと、「イカ天」(「いかすバンド天国」)だとか、当時みうらさんがおもしろがってたものを、私もおもしろがってた時期があるんです。
みうら:林さん、あの時期「イカテン新聞」ってのを作っておられたんですよね。
林:そう。あまりにおもしろくて。みうらさんは昔からサブカルチャーの真っただ中にいて、私もサブカルチャーにいたつもりだったんだけど、今は私、日本文藝家協会の女性初の理事長とか、勲章いただいたりとか、まっとうな人になっちゃったというか、「権力側のおばさん」って思われてるみたい。
みうら:いやいや、僕はあのころカルチャーの真っただ中にいるって誤解してたんですけどね(笑)。林さんには実力が伴っていたんですよ。
林:あのころ、メジャーとマイナーを一緒にした造語の「マイジャー」というのがはやってて。みうらさんはまさしくそうで、メジャーになっちゃうとカッコ悪いけど、マイナーでありながらファンを持ってて有名、といういちばんカッコいいポジションにいましたよね。
みうら:いや、時代にいつもズレているんですよ。僕の中では糸井さんがそうでしたし、そういう人はカッコいいと思って憧れてましたね。