競技以外の話題にも事欠かなかった東京五輪も閉幕が近づいている(c)朝日新聞社
競技以外の話題にも事欠かなかった東京五輪も閉幕が近づいている(c)朝日新聞社
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 東京五輪で、外国人選手たちに浮世絵柄のコンドームが配られる――。五輪開催前から、SNSやネットニュースでそうした情報が流れていたことをご存じだろうか。だが、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は否定。提供元と噂された大手メーカーも困惑する。浮世絵コンドームの情報はどこから湧いて来たのか。

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「組織委が受け入れた浮世絵コンドーム無料配布」

 そんな文言が入ったニュースがネットで流れたのは、五輪開催への風当たりが強くなっていた6月上旬。同時期にまとめサイトなどでも似たような記述を確認できた。SNSでは「五輪関係者は悪ふざけが過ぎる」「やることなすこと滅茶苦茶」「誰と使うのか」といったネガディブな声があがった。

 ところが、五輪が始まってからAERAdot.が組織委に、本当に浮世絵コンドームが配られたのかを確認したところ、「コンドームには何もプリントされていない」との回答が。

「パッケージは性感染症対策の啓発の案内などをいれておりますが、本体は何もプリントされておりません」(組織委)

提供したとネットで名前があがっていた大手コンドームメーカー「オカモト」にも問い合わせたところ、広報担当者は、「ネットではいろんな情報が出回っていますが、実は、五輪では採用されていないんです」と困惑した様子。結果的に、完全な「ガセ」だったことがわかった。

 ただ、今回の五輪で、コンドームは16万個ほど用意されたのは事実。

「物品については、この目的に賛同いただき、無償提供の協力の申し出があった複数社から、合計でロンドン大会と同程度の提供をうけています」(組織委担当者)

 東京大会に限らず、五輪とコンドームの関わりは深い。選手村におけるコンドーム配布の歴史は、30年以上前にさかのぼる。1988年のソウル大会から、HIV/AIDSの撲滅のための啓発活動の一環として始められ、2004年からは国連とも連携した取組みに。組織委の担当によれば、「東京大会においても、IOCから引き続き実施するよう求められている」という。

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架空のものではない