東京五輪で金メダルを獲得した女子ソフトボール日本代表・後藤希友が出身地である名古屋市役所を4日に表敬訪問した際、金メダルを首に掛けてもらった河村市長が金メダルに突然噛みついた出来事に批判の声が殺到した。

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 東京五輪柔道男子60キロ級で金メダルを獲得した高藤直寿は自身のツイッターに「動画見たけど、『カンッ』て歯が当たる音なってるし。自分の金メダルでも傷つかないように優しく扱ってるのに、怒らない後藤選手の心の広さ凄すごすぎ。俺だったら泣く」と投稿するなど、多くのアスリートも怒りを露わにした。

 その中で04年アテネ五輪、08年北京五輪と2種目2連覇の偉業を達成した北島康介氏が5日、自身のツイッターで綴った問題提起も波紋を呼んだ。

「そもそもなんで表敬訪問しなきゃいけないのか。僕はメダル噛んだことありません」

 この投稿は数時間後に削除されたが、賛否両論の意見が見られた。SNS、ネット上では、「現役選手としては資金援助を受けていなくても、生まれ育った地域では税金から有形無形の支援を受けているから、市民の代表者に表敬訪問するんだよ。学校や練習施設に通う道だって税金で作られていると考えたら分かるけど、形式的なものだと考えてたら分からんよね」と批判的な意見が多い。

 その一方で、「市民や市に感謝の思いは当然ある。だが、わざわざ市長に挨拶に行く意味が分からない。アスリートは疲れているだろうし、市長の方から出向けばいいのでは」と北島氏を擁護する声も見られる。

 スポーツ紙の記者はこう語る。

「今後、メダリストの表敬訪問は形式が変わる可能性がある。表敬訪問自体は決して悪いことではないと思います。アスリートは地元や市民に対する感謝の思いを伝えたいと思っているので貴重な場です。ただ市長の首にメダルを掛けるパフォーマンスは、今回の河村市長の『メダル噛みつき』でなくなるかもしれません」

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抵抗を感じるアスリートの声