逆転でのメダル獲得を期して2種目目のフープ・クラブに臨む日本は、「日本の四季」をイメージした演技を開始。早々にクラブを落とすミスが出るが、「ミルフィーユ」と選手たちが名付けた3人が重なるオリジナルの技を決める。しかし交換の際フープが場外に転がり出て、予備のフープを使い演技を続行。しかし微妙なずれが生じ、受け止めきれなかったフープがまたも無情に場外へ。フープが1本足りない状態が少し続き、再度予備のフープを取りに行ったことで演技は乱れる。桜を咲かせるポーズで終えた演技は、本来の出来とはかけ離れたものになってしまった。
フープ・クラブの得点は29.750、2種目合計72.500。悲願のメダル獲得はならなかったが、8位に入り2016年リオデジャネイロ五輪に続く入賞を果たしたのは、難度の高い演技構成で攻めたことによる成果だろう。
選手たちの日々の鍛錬が表に出ることは少なく、私たちが観るのは大舞台での数分間の演技でしかない。何より選手にとって辛い記憶となる失敗が、挑戦の証でもあることを忘れてはならないだろう。フェアリージャパンが東京五輪でみせた果敢なチャレンジが、未来への一歩となることを願う。(文・沢田聡子)
●沢田聡子/1972年、埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。シンクロナイズドスイミング、アイスホッケー、フィギュアスケート、ヨガ等を取材して雑誌やウェブに寄稿している。「SATOKO’s arena」