競泳の池江璃花子(左から2人目) (c)朝日新聞社
競泳の池江璃花子(左から2人目) (c)朝日新聞社
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 白血病から復活し、東京五輪出場を果たした池江璃花子。今回はメダル獲得とはならなかったが、その視線はすでに3年後へと向けられている。その一方で、日本の競泳チームには課題も。AERA 2021年8月16日-8月23日合併号で取材した。

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 白血病から復帰した競泳の池江璃花子(21)が、一度はあきらめた東京五輪の舞台に立った。出場3種目中、唯一予選を突破した女子400メートルメドレーリレーの決勝を泳いだ後、涙声で言った。

「人生のどん底に突き落とされて、ここまで戻ってくるのはすごく大変だった。だけど、2大会連続でこの舞台に戻ってこられたことは、自分自身に誇りを持っていけるなと思います」

 2018年のジャカルタ・アジア大会で日本勢最多の6冠を獲得した。だが、19年2月に白血病を公表。約10カ月入院し、「思ってたより、数十倍、数百倍、数千倍しんどいです」とツイッターに書き込むほどの治療で体重は15キロも落ちた。

 体力や筋力は、闘病前のようには戻っていない。今大会はリレー種目だけで個人種目にはエントリーしなかった。それでも、ライバルたちの泳ぎを見て「いけるな」と思ったという。

「1バタ(100メートルバタフライ)の決勝レースを見たときに、自分はこの舞台で活躍できるんだという自信が勝手に湧き上がってきました」

 24年パリ五輪でメダルを手にできるのか。元日本水泳連盟広報委員の望月秀記さんは、活躍を狙える種目として100メートルバタフライ、100メートル自由形、200メートル自由形の三つを挙げた。

「競泳選手は18~22歳がゴールデンエイジ。パリ五輪を24歳で迎える池江選手は記録の伸びが鈍化する時期です。ただ、東京五輪で七つのメダルを獲得したオーストラリアのエマ・マキオン(27)や、長い間トップ選手として活躍するスウェーデンのサラ・ショーストロム(27)ら20代後半でも成長を続ける選手も出てきた。彼女らからトレーニング内容や食事、精神面などを徹底的に学び、自分に取り入れられることを見つけ出せたらいい」

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