丸川珠代五輪相が10日に行われた閣議後の会見で、五輪期間中に新型コロナウイルスの感染が拡大したことについて、「オリンピックの開催は感染拡大の原因にはなっていないものと考えている」と因果関係を否定。また、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長(67)が帰国直前に東京・銀座を散策したことについては「14日間しっかりと防疫措置の中で過ごされていることが重要なポイント」「不要不急であるかどうかは、ご本人が判断すべきものであります」と語った。こうした発言が大きな波紋を呼んでいる。
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報道によると、五輪と感染拡大の因果関係について、丸川五輪相は海外から入国した選手や大会関係者約4万3000人のうち、9日時点で陽性者が計151人だったことなどを、「因果関係がない」根拠として挙げた。加藤勝信官房長官も同日に行った記者会見で、「政府としては、(五輪が)現在の(コロナ)感染拡大の直接の原因になっているわけではない」と説明。「東京の夜間滞留人口は減少した。多くの方が連日、日本人選手らの活躍を自宅で観戦し、応援したことの表れだ」と力説した。
「菅首相は東京五輪を安倍さんから引き継いだ政治的レガシー(遺産)にしたい。菅政権の功績にするためにも、コロナの感染拡大と五輪開催の因果関係を認めるわけにはいかない。丸川五輪相、加藤官房長官は菅首相に『右向け右』なので、『因果関係はない』で押し通すしかないのでしょう」(テレビの政治部記者)
思い描いていたシナリオは崩れた。自民党関係者は「東京五輪開催に反対の声は多かったが、いざ始まれば、日本人選手が活躍して国民の間で『五輪をやってよかった』という空気になるだろう」と大会前に話していた。だが、日本人選手がメダルラッシュで盛り上がるのと、コロナの感染者数が増え続ける中で菅首相が説明責任を果たさないまま、五輪開催に踏み切ったのは別問題だ。国民は冷静に見ている。