中国広東省の疾病対策センター(CDC)が中国内のデルタ株への感染者167人について調べたところ、最初に感染が確認された際のPCR検査で、従来のウイルス株より約1千倍多いウイルス量が感染者の体内にあったとみられるという。

 感染からPCR検査で陽性と診断できるようになるまでの日数は、従来株では約6日間だったが、デルタ株は約4日間だった。広東省CDCは、「デルタ株は従来株よりも増殖スピードが速く、感染の初期により高い感染性をもつ可能性がある」と注意喚起している。

 また、デルタ株は、病原性が高くなり、感染すると重症化しやすくなっている可能性もある。カナダのトロント大学などの研究チームが今年2~6月のオンタリオ州の感染者約21万1千人を分析したところ、デルタ株の感染者は従来株の感染者に比べ、入院するリスクが120%、集中治療室での治療が必要になるリスクが287%、死亡リスクが137%高かったという。(科学ジャーナリスト・大岩ゆり)

AERA 2021年8月30日号より抜粋