26日に日程が決まる自民党総裁選。AERA 2021年8月30日号では、動きが注目される岸田文雄氏(64)に、政策や出馬の意欲について聞いた。
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──講演では「弱者の視点」にも言及されています。
私は自由や民主主義、法の支配、人権、こうした戦後大事にしてきた基本的な価値観は大切にしていかなければならないと思っています。多様性というのは、まさに民主主義が体現する価値。若者も高齢者も、男性も女性も、障害のある方も失敗した経験がある方も、全ての人が家庭や職場に居場所を見いだせ、生きがいを感じることができる社会を目指すことが大事です。
いま、最も厳しい立場に置かれているのが正規より非正規、男性より女性、大企業より中小零細企業の皆さんです。「アフターコロナ」の時代に向けても、こうした方々に対する目配りは大事になってきます。
──今春には支援策を菅首相に提言しました。
給付金など対象を絞った支援が必要だと申し上げました。厳しい状況の中でアルバイトのシフトが減るなど仕事が失われている。一方で、業種によっては人手が足りない状況もある。弱い立場の方々と働く場をマッチングさせる業者を政府が応援するということも提案しました。
──党内では菅政権への不満が高まっています。総裁選に出て、そうした声に応えようとは思いませんか。
今は菅総理を支えて、コロナ対策に全力で協力していかなければいけません。もちろん「チャンスがあれば挑戦したい」という言い方は、従来と変わってはおりません。
国民の中で不安が広がっている。さらには政治が自分たちの声を十分くみ上げてくれていないのではないかといった声があります。その中での総裁選は、自民党の中に幅広い政策議論がある、多くの国民の皆さんの声もしっかり届いている、その上で政策が決定されているということを見せる意味では、大切なことだと思います。
■フルスペックですべき
──参院選広島選挙区の買収事件や、収賄事件など党内では不祥事が相次いでいます。
政府与党に対する国民の信頼について様々な指摘があるわけですので、党の執行部においても、国民に対する説明責任、信頼回復といった面で努力を続けてもらいたい。我々も党の一員として努力をしていかなければならないと思っています。