このオリンピックで、不祥事やトラブル以外に語り継ぐことなんてあるんだろうか。以前の東京五輪のようなことなんて起こらないって誰だって分かっていたはずなのに、なぜこんな空虚なことに力を尽くしたんでしょう。
オリンピックという立派なタイトルがつけられているから、語り継ぐためだけに今後も仕方なくいろいろな角度で語られるでしょうが、そのたびに競技内容よりも政治状況や時代背景ばかり触れられることでしょう。オリンピックも、一時的に消費されるためだけの、ただのコンテンツだったとみんな気づいてしまった。
2週間のコンテンツにかけた労力や人命や金を考えると今はただただ虚しい。(寄稿)
のうまち・みねこ/1979年、北海道出身。漫画家、エッセイスト。『お家賃ですけど』(文春文庫)、『私以外みんな不潔』(幻冬舎)、『結婚の奴』(平凡社)など著書多数。近著は『そのへんをどのように受け止めてらっしゃるか』(文春文庫)。ツイッターでは趣味の大相撲に関する発信も多い。
※週刊朝日 2021年9月3日号