その点、派閥の領袖である岸田氏は推薦人確保に問題はない。前回の総裁選にも出馬したが、2位で落選。捲土重来をはかろうとしているのだろうが、風向きは決してよくない。

「岸田氏は“ポスト安倍”を狙う際にも、安倍氏の禅譲を期待するばかりで自ら動こうとしなかった。地元の広島では、河井克行元法相と妻の河井案里元参院議員のスキャンダルで自民党に逆風が吹いている。岸田氏が総裁選に立候補しなければ、今後の広島での選挙に影響を及ぼしかねないという判断もあるでしょう。今回も“積極的”とは言いがたい」(角谷氏)

 また、昨年の総裁選で岸田氏は同じ「宏池会」に源流を持つ麻生派の麻生太郎副総裁兼財務相の支援に期待したが、結果的に麻生氏は菅支持にまわった経緯がある。麻生氏が岸田派(宏池会)の名誉会長を退任した古賀誠元自民党幹事長と犬猿の仲だったことが影響したといわれた。その古賀氏は岸田氏の総裁選にはずっと反対してきたが、岸田氏は今は古賀氏と距離を置いているとされる。岸田氏にとっては麻生氏の動き次第で、浮沈が決まる可能性がある。

「鍵を握る3A(安倍、麻生、甘利明税制調査会長)から見れば、高市氏と下村氏はくみしやすいでしょうが、まだ何が起こるかわからない。石破茂元防衛相も、最近の世論調査でまだまだ人気が高いことが明らかになった。石破氏は『菅首相のもとで総選挙を』と発言しているが、3週間後はわからないですよ。菅首相が何も言わないから、よりわからない。報道されていないことの方が多いでしょうし、まだ新しい候補者が出てくる可能性も十分あります」(角谷氏)

 総裁選まであと1カ月。これから、水面下での派閥間の駆け引きがより激化しそうだ。(AERA dot.編集部・上田耕司)

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