自民党は26日に総裁選選挙管理委員会を開き、総裁選を17日公示、29日投開票とする日程を決めた。候補者には、菅首相の他には、岸田文雄前政調会長が出馬を正式表明した。また高市早苗前総務相、下村博文政調会長らの名前も上がっている。

 総裁選のゆくえについて、政治ジャーナリストの角谷浩一氏はこう話す。

「すでに二階俊博幹事長が菅首相支持を打ち出し、他の主流4派閥も様子を見ながら追随する構えをみせています。しかし、総裁選はまだ1カ月も先の話。これから何が起こるかわからない。菅氏が出馬しないことも考えられます」

 というのも、今回の総裁選はすべて派閥の領袖(りょうしゅう)らキングメーカーたちの手綱の引き合いで、菅首相個人が自民党総裁として評価されているわけではないからだ。自民党関係者はこう話す。

「早々に菅総理支持を表明した二階さんは、とにかく自分を幹事長に残してくれる人なら誰でもいい。菅さんの続投を望んでいるということではなく、他の新総裁になったら自分が名誉職に棚上げされるのを恐れているだけで、それなら菅さんでいい、ということ。結局は、自分かわいさなんです」

 当初、菅首相は無投票で総裁選を乗り切るつもりだったようだが、相次ぐ対抗馬の出現や、党内からの突き上げによって、そのもくろみは崩れている。出馬に意欲をみせている高市氏は無派閥、下村氏は細田派、岸田氏は岸田派とそれぞれ派閥が異なっており、背後にいる大物政治家の駆け引きも激しくなりそうだ。

「高市氏は無派閥だが、安倍晋三前首相に近い。高市氏は安倍氏に何十回も総裁選の出馬を打診したようだが、断られ続けたことで自分が出ることに決めたと発言している。下村氏も安倍氏の側近。所属する細田派は安倍氏が実質的なオーナーだが、表面的には安倍氏は菅支持を表明している。高市氏にせよ、下村氏にせよ、派閥の締めつけで推薦人に圧力がかかり、出馬に必要な推薦人20人が集められるかどうかが鍵だろう」(前出・自民党関係者)

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岸田氏の浮沈は「麻生財務相」が鍵