とんねるずの石橋貴明(左)と木梨憲武(C)朝日新聞社
とんねるずの石橋貴明(左)と木梨憲武(C)朝日新聞社
石橋貴明公式YouTubeチャンネル「貴ちゃんねるず」24分間テレビ2021 ~貴ちゃんゴールであの人熱唱~より
石橋貴明公式YouTubeチャンネル「貴ちゃんねるず」24分間テレビ2021 ~貴ちゃんゴールであの人熱唱~より

 お笑いコンビの2人の関係性とは実に不思議なものだ。定義上は単なる仕事上のパートナー同士でしかないはずなのだが、それだけにとどまらない独特のものがある。

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 ただの仕事仲間でもなく、友人でもなく、恋人でもない。その関係性は夫婦にたとえられることもある。たしかに、ある種の「契約」を前提にして成り立っているという意味では、夫婦に近いとも言えるのかもしれない。

 雨上がり決死隊の解散が発表された『アメトーーク特別編 雨上がり決死隊解散報告会』でも、2人のたたずまいは長年連れ添った熟年夫婦のようだった。

  一方がとっくの昔に愛想を尽かして見切りをつけているのに、もう一方はその事実を受け止め切れず、まだやり直せるのではないかともがいている。そんな熟年カップルの離婚会見を見せられているようだった。

 そもそも、いい歳をした大人同士が「仲がいい・仲が悪い」などと噂されること自体が、お笑いコンビという関係の特異さを物語っている。

 デビュー以来、40年以上にわたって活動しているとんねるずも、何かと不仲説をささやかれることが多いコンビである。彼らが不仲だと言われるようになったのは、徐々にコンビよりも個人の活動の方が目立ってきたからだ。

 とんねるずの石橋貴明と木梨憲武は、もともと帝京高校の同級生である。親しい友人が仕事上のパートナーになったというルーツが多くの人に知られているからこそ、不仲になったのではないか、ということが噂になりやすい。

 実際に不仲かどうかというのは、本人たちにしかわからないことなので、そもそも考えるのも無意味である。

 むしろ、とんねるずの場合、本人たちも不仲説が流れていることは承知の上で、それを逆手に取ってネタにして楽しんでいるようなところがある。

 先日、それを象徴するような出来事があった。石橋のYouTubeチャンネル『貴ちゃんねるず』に初めて木梨が出演したのだ。

 8月22日にアップされた動画で、石橋は「24分間テレビ」という企画を行っていた。日本テレビの『24時間テレビ』のパロディとして、石橋が24分間にわたってマラソンを行い、3キロの距離を走り抜いて両国国技館を目指す、というもの。

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ラリー遠田

ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)。http://owa-writer.com/

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木梨は石橋の離婚をネタに