思えば、自民党という政党においては、長らくバブル方式が標準仕様になっていたのではないか。よくあんなことが言える。どうして、彼らとは質疑の歯車がこんなにもかみ合わないのだろう。我々がしばしばこのような思いに駆られるのは、我らと彼らがバブルの外と内に位置しているからだ。バブルの中の常識が、バブルの外の常識と全くかけ離れているからだ。
そして、彼らを包むバブルは鉄壁だ。スポーツ競技に関するバブルは脆(もろ)さを露呈した。だが自民党政治を包み込むバブルは実に強靱(きょうじん)だ。その中にいる政治家たちは、バブルの守り方に関する「プレーブック」に実に忠実だ。身の毛がよだつ。
浜矩子(はま・のりこ)/1952年東京都生まれ。一橋大学経済学部卒業。前職は三菱総合研究所主席研究員。1990年から98年まで同社初代英国駐在員事務所長としてロンドン勤務。現在は同志社大学大学院教授で、経済動向に関するコメンテイターとして内外メディアに執筆や出演
※AERA 2021年9月6日号