実力派俳優として活躍する林遣都さんが、2年ぶりにAERAに登場。コロナ以降の作品への取り組みや、撮影の際の話を聞いた。AERA 2021年9月6日号から。
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本誌表紙を飾るのは2年ぶりだ。少し照れくさそうにカメラの前に立っていた前回と比べ、スタイリストに衣装の提案をしたり、モニターをのぞいて談笑したり。まわりに対して開いている印象を受けた。
「根本は変わってなくて。自分の見た目とかおしゃれとか、普段は気にしないタイプですし。でも、せっかく蜷川(実花)さんに撮っていただくので、照れていられないな、と。人との出会いを大切にするようになったかもしれないです」
変化のきっかけは、コロナ禍だ。昨年4月以降、スケジュールが大幅に変更。ようやく再開した最初の仕事が、ドラマ「世界は3で出来ている」だった。林が1人3役を演じ、スタッフも最小限に抑えた現場で気づきがあった。
「役のことをガーッと考えると周りが見えなくなっちゃうタイプなんですけど、久々の撮影現場で、スタッフさんの存在をより感じることができて。役は、いろんな人の力によって初めて生まれるものなんだ、と強く感じたんです」
役のことだけでなく、仕事のこと、人間関係のこと……。自他共に認める“考えすぎちゃうタイプ”だ。昨年30歳になったが、そうした傾向は「むしろ、増しましたね」と苦笑いする。
「今日も蜷川さんに撮っていただくってなって、何日も前からもう……。どういうコンディションでいこうとか、何話そうか、とか。そういうことばっかり」
疲れてしまわないのだろうか。
「最近は人に頼るようにしていて。この年になると、ずっと続いていくんだろうなっていう人間関係は定まってくるじゃないですか。そういう人たちにしっかり頼って、思考から離れられる時間を持てるようになりました」
そう言うと、マスク越しでもわかるほど柔らかに微笑んだ。(ライター・市岡ひかり)
※AERA 2021年9月6日号