「大会が始まってから一気に売れたので、実際に作った数で見れば8割くらいは売れたと思いますが、全体としてはとても残念な結果でした。残りを廃棄にしないため、どうにか売らないといけません。多くのメーカーが売れ行きと廃棄に頭を抱えていて、大会前や大会中、組織委に値引きや販促活動をしていいのか問い合わせたメーカーもたくさんあったと思います。組織委もコロナ禍で大変だったと思いますが、もっと早い決断はできなかったのか。非常時だからこそ柔軟な対応をしてほしかった」(同)
■弁当やマスクの「廃棄」も
国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」の実現を掲げた大会。だが、ふたを開けてみれば看板倒れは否めなかった。直前に無観客開催が決まった影響もあったとはいえ、13万食にものぼるスタッフ用の弁当を廃棄したり、コロナ対策用のサージカルマスクなど500万円分を廃棄したことも明らかになるなど、多くの問題を露呈した。
2030年の冬季五輪には札幌市が招致に乗り出している。今大会の橋本聖子・組織委会長は実現に意欲を見せ、さらに実現した際、再び組織委の会長就任の依頼があれば、「ぜひ受けさせていただきたい」とも語っている。
「メーカーに対し、販促活動を制限するなどあまりに縛りが多い。売れていないのに何もしなければ廃棄につながるだけです。こうした問題は改善する必要があると思います」(前出のメーカー担当者)
再び日本で五輪が開かれるのは定かでないが、残された教訓は少なくない。
(AERA dot.編集部・國府田英之)