野球に詳しくないランドンくんの母親は、インスタグラムを介してダルビッシュにメッセージを送った。「彼の母親は、ダルビッシュに息子がどれだけ喜んでいたかというお礼をただ伝えたかっただけで、返信を期待していたわけではなかった」とハイルブラン記者は綴っている。

 しかし、その翌日に、彼女はダルビッシュから返信を受け取った。そこにはダルビッシュから英語で次のような返信が書かれていた。

「サインを終えた後、誰かに『なぜ雨の中でサインなんかしたんだ?』と聞かれました。僕は『親と野球を観に行くと約束をし、その日を何カ月も前から心待ちにしていた子供もいるはずだ。だから、そんな子供たちに思い出を作ってあげられるよう、何もしないよりは声をかけたりしてあげたほうが良いと思うんだ』と答えました。そのような家族が本当にいて、少しでも手助けになれたなら、嬉しいと思います」

 この話はこれだけでは終わらない。ダルビッシュは返信を送ったその翌日、今度は同家族をパドレスの地元サンディエゴに招待するという提案をした。そこには、観戦チケットのみならず、航空券やホテル代も全てダルビッシュが用意するとも書かれていたそうだ。この提案にランドンくんや父親は喜び、「彼の寛大さに吹き飛びそうになった」とも書かれている。

 そして、9月の第二週目にランドンくんのサンディエゴ旅行は実現した。この週の月曜には、アメリカでは「レイバー・デー」(労働者の日)という祝日があり、いわゆる3連休でもあった。サンディエゴに訪れたランドンくんは、試合前にダルビッシュの招待でパドレスのベンチを訪れ、ダルビッシュのサイン入りのスパイクとグローブ、そして、同球団の人気選手であるフェルナンド・タティスJr.のサイン入りユニフォームを受け取った。ハイルブラン記者は、ダルビッシュとランドンくんの2ショット写真を載せ、「人生で最高の日だ」というランドンくんの言葉も紹介している。

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