新型コロナウイルスの脅威が身近に迫っている。自宅療養者は全国で13万人を突破。入院したくてもできない事態に陥ったとき、なにをすればよいのか。事前に準備しておきたいものとは──。AERA 2021年9月20日号は「自宅療養」特集。
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「ニュースで連日、入院したいのにできず、自宅療養になる人たちのことが伝えられるのを見ながら、家族3人で感染して共倒れしたらどうしよう、といつも話しています」
愛知県に住む57歳の女性は、20代の娘2人と暮らす。自身は心臓に基礎疾患があり、感染自体も心配だ。それ以上に、「自宅療養って、どんな生活になるんだろう?」と不安でいっぱいだという。せめて準備はしておこうと、食料品を少しずつ買い始めている。
「いまのところ水は2リットルを12本。500ミリリットルのスポーツ飲料24本。他にもレトルトのおかゆやご飯、カップ麺やお菓子などをそろえています。できることはやっておいたほうが、と思うんです」
自宅療養する前からの準備。そこまで必要なのだろうか?
厚生労働省によると、新型コロナウイルスに感染して自宅で療養している人は全国で13万人を超す(9月1日時点)。終息が見通せないなか、病床不足は深刻化。長い闘いになる。
■24日間の隔離を覚悟
冒頭の女性のように「自分が感染したときのために、事前の備えをすべきです」と訴えるのは、日本在宅医療連合学会代表理事の石垣泰則さんだ。
「コロナ禍は単なる感染症の蔓延(まんえん)ではなく災害です。『災害対策』のつもりで食料品などを準備しておく必要があります」
では何を、どれだけ用意すればいいのか。それにはまず、自宅療養の期間を知っておこう。
陽性が判明した本人は「発症日(無症状の人は検査日)から10日間が経過。かつ症状軽快日から3日間(72時間)が経過するまでの期間」とされている。さらに、その人と同居する家族がいる場合、全員が濃厚接触者になる。陽性者の隔離が終わった時点から、さらに14日間の隔離が求められ、計24日間という長丁場になることもある。