一方の投手はまだ一軍デビューを果たした選手はいないが、二軍で最も経験を積んでいるのがオリックス1位の山下舜平大だ。ここまで15試合に登板して1勝8敗、防御率5.03と数字的には芳しくないものの、チームのルーキーではダントツトップの53回2/3を投げているところに期待の大きさがうかがえる。高校時代はカーブ以外の変化球をあえて封印しており、これから覚えることもまだまだ多いが、威力抜群のストレートは大きな魅力だけに来年以降の飛躍が期待される。

 もう一人のドラフト1位、高橋宏斗中日)もここまで二軍で27回2/3を投げて、防御率7点台とプロの壁に苦しんでいるが、そんな中でいち早く結果を残し始めたのが日本ハム5位入団の根本悠楓だ。4月13日のイースタンリーグ、対楽天戦で二軍初勝利をマークすると、その後は先発でも好投。ここまで9試合、24回2/3を投げて防御率1.82と二軍ではチームでもトップクラスの成績を残している。高校時代からコントロールは抜群で、試合を作る能力の高さも光っていたが、二軍レベルでは十分に通用することを証明している。チームは左の先発候補が少ないだけに、早ければ今年中の一軍デビューも期待できそうだ。

 現在一軍の戦力と言えるのは来田だけだが、二軍では野手を中心に頭角を現しつつある選手は少なくない。同期の大学生、社会人ルーキーの活躍も良い刺激となっているはずだ。シーズンは残り少ないが、10月11日からは若手の登竜門ともいえるフェニックスリーグも始まるだけに、そこでも多くの高校卒ルーキーが成長ぶりをアピールしてくれることを期待したい。(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員


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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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