■アドリアン・ベルナベ(20歳・ポジション:MF)|パルマ

 久保と同い年で、先述のU-12 ジュニアサッカーワールドチャレンジにも出場していたベルナベ。2018年にガルシアを追うような形でマンチェスター・シティへと引き抜かれ、9月にはリーグ・カップで早速デビューを果たしている。

 左利きで抜群のボールスキル、幅広い視野から同胞のダビド・シルバと比較され、U-23チームでも主力の1人だった。しかし世界最大の資金力を誇るシティのトップチームの壁は厚く、時折ベンチ入りするも出場はなし。昨季はU-23チームで本職ではない左サイドバックも挑戦し、プレミアリーグ2の優勝も経験したが、シーズン終了とともにセリエBのパルマへとフリーで去っていった。

 怪我の影響で未だパルマでの出場はないベルナベだが、一部ではレアル・マドリーやリヴァプールに注目されているとの話も。失意のままマンチェスターを離れたとはいえ、その才能は欧州で高く評価されているようだ。まずはジャンルイジ・ブッフォンと同じパルマで出場し、継続的な出場機会を得て、シーズン通してトップチームで戦えることを証明したい。

■コンラッド・デ・ラ・フエンテ(20歳・ポジション:FW)|マルセイユ

 昨季までバルセロナBチームで活躍していたため、久保だけでなく安部裕葵とも同じチームでプレーしたデ・ラ・フエンテ。スピードあふれるウインガーは昨年、ファティの長期離脱決定後にクーマン監督から名指しで「出場機会を与える」と明言されると、12月にトップチーム初出場。だが、チャンピオンズリーグ2試合で17分間に出場し、定期的にベンチには入ったものの、トップチームとBチームを行き来する日々が続き、結局出番は殆ど得られなかった。

 すると今夏、12歳から所属していたバルセロナを離れることを決断。フランスの名門、マルセイユへと推定移籍金300万ユーロで加入した。本人は『ESPN』のインタビューで「僕は野心家だから、離れるのは難しくなかったよ。目標はいつかバルセロナでプレーすること。そのためにトップレベルでの出場機会が必要だったし、移籍がベストだと思ったんだ」と明かしている。

 知将ホルヘ・サンパオリの下、リーグ・アン開幕4試合で2アシスト。好調マルセイユでレギュラーの座を掴みつつある。「選手全員には自分なりの“試合の中の試合”がある。僕の場合は対峙する相手にひたすら挑み、1対1で勝って、チャンスを作ってゴールを奪うことだ」と勝ち気なアタッカーは、自身が語ったように今シーズンが勝負になるだろう。そして、戦術的要素から強烈なプレッシャーまで、様々なことを学ぶ環境は揃っている。リーグ・アン、ヨーロッパリーグで出場機会を積んでいけば、マルセイユが支払った10倍の価値にまで到達するかもしれない。

(文・三上凌平)