新たな総理大臣の誕生に世界中の投資家が注目している。特に外国人投資家は河野太郎行革担当相に期待しているが、自民党総裁選で株価はどうなるのか。緊急座談会を実施した。参加してくれたのは、国内中堅証券会社で長年にわたって調査を担当するA氏、外資系証券会社で、海外機関投資家の注文をさばくセールストレーダー・B氏、国内証券会社で自社の資産を運用するディーラー・C氏、国内運用会社でアナリストとして活躍するD氏の4人。

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菅義偉首相の退陣表明を伝える号外 (c)朝日新聞社
菅義偉首相の退陣表明を伝える号外 (c)朝日新聞社

前編/河野太郎首相誕生で爆買い? 「投資家」が注目する総裁選】より続く

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(週刊朝日2021年10月1日号より)
(週刊朝日2021年10月1日号より)

──総裁選の結果次第で、日経平均はいくらに?

D:おそらく、誰が首相になっても当面、日経平均は上昇トレンドが続くでしょう。菅首相の退陣表明をきっかけに、自民党の支持率が急上昇していますからね。総選挙で与党が過半数を維持できる可能性が高まっているという点で、買い安心感が広がりやすい。

B:私は河野首相なら、3万4千円は超えてきてもおかしくないと見ています。今年2月の高値3万500円から8月の安値2万7千円の倍返しで。

C:大手証券会社からは年度内3万6千円予想のリポートも出てますね。

B:11月以降とされる行動制限の緩和次第では十分あり得ると思う。最近、外国人投資家には「11月以降の日本はどうなるんだ?」という質問ばかりされる。ワクチン接種率がアメリカを抜いたことから、行動制限を緩和したら日本は一気に経済が回復するんじゃないか?と期待している外国人が非常に多い。

C:この半年の調整期間中に国内上場企業は過去最高益を更新していますからね。日本株が出遅れていたことと、世界的な金融緩和が当面続くことを考えれば、私は5年で日経平均5万円もありえると見ています(笑)。

A:注目は総裁選投開票日の9月29日ですね。前日の28日が9月中間配当の権利付き最終日。通常、日経平均などの指数に連動するように運用するファンドは、配当を受け取ることを見越して権利付き最終日と前後して先物を買います。配当分を先に先物で買い付けることで、運用のロスを減らすんです。その買い付け規模は、日経平均先物で1300億円、TOPIX先物で6500億円程度。総裁選の結果が出るタイミングで先物主導の大幅上昇も期待できる。

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