36歳でも圧倒的なパフォーマンスは全く衰えない。その秘訣の一端は、徹底的に管理しつくされた生活にあるだろう。元住み込みシェフは「高価なものは食べないし、健康的なものしか口にしようとしない」と証言。高タンパクな海鮮類や低カロリーな鶏、野菜を中心に、糖質や脂質は極力カットし、飲み物は基本的に清潔な水。ジャンクフードは一切口にしないという。本人も、11歳の息子がコーラやポテトチップスをつまんでいるのを見ると「腹が立つ」と明かしている(だからEURO2020でスポンサー企業であるコーラをどけたのか)。
試合終了後も食事に出かけることは一切なく、ロッカールームでフルーツや炭水化物を摂取し、自宅に直帰して温水と冷水に交互に浸かり、大好きなプールでリラックス。そしてサウナに入り、最低8時間の睡眠を欠かさない。1日5~6回の健康的な食事、8時間以上の睡眠に5回の昼寝、これをほぼ毎日行っているという。
それも、彼はキャリアの初期からこの生活を続けている。スター選手になればなるほど周りの取り巻きは増え、誘惑の数は跳ね上がる。それに溺れた選手だって星の数ほどいる。そんな中で、ロナウドは19年近く“ストイックすぎる”生活を徹底してきた。だからこそ、歳を重ねても全く衰えるどころか、進化を続けてこられたのだ。
練習の虫
ボディビルダー顔負けの肉体美を誇るロナウド。時折ゴール後に見せるその身体はまるで彫刻のよう。これまで数々のチームメイトが徹底的に鍛え抜く姿に驚愕したことを明かしてきたが、今週、ちょうどポール・スコールズがこんなエピソードを語っている。
「トレーニングの前後も練習だ。一日中フリーキックの練習や坂道ダッシュ、足首におもりを付けて鍛えていた。で、全体トレーニングが終わると、またジムに通っている。イギリス人じゃ見たことないね。あれほどプロフェッショナルな人間は初めて見た」
またユヴェントス時代に同僚だったメフディ・ベナティアは、「2人してベンチで試合を見守った帰りのバス、『ちょっと練習しない? 試合に出なかったし、トレーニングしないと。付き合ってよ』と言われたんだ。23時に。『家族も大切にしたいから無理だ』と説明したら納得してくれたんだけど、到着した時にみんながスーツ姿の中、1人短パンにスニーカーだ。『こいつは普通じゃない』って思ったよ」との逸話を明かしている。「まさに戦闘マシーンだよ」とも。
こうした姿勢もキャリアの初期からずっと続いている。「毎日腹筋3000回」と報じられたこともあったが、これについては「事実じゃないよ。トレーニングだけの日は週3~4回で、毎週1000回もいってないんじゃないかな」と否定。「トレーニングには熱意と知性が大切なんだ」という。また別のインタビューでは、「やる時間は決めない。自分が集中してできる時にやればいいんだ。例えば、朝起きた時や寝る前の寝室とかね。ルーティンに合わせられれば、自然と楽しめるよ」と。だから23時にトレーニングへ向かったのだろう。だらしなく怠惰な生活を送る一般人の自分からすればとうてい信じられないような“ストイックすぎる”姿だが、ロナウドからすれば「やりたいからやる」というだけの話なのかもしれない。