岸田氏のあいさつをリモートで聞く支援者ら/9月17日、広島市 (c)朝日新聞社
岸田氏のあいさつをリモートで聞く支援者ら/9月17日、広島市 (c)朝日新聞社

「アメリカやイギリスなど諸外国では、有権者の多くが政党の党員になっているため、国民の多くが選挙に関わることができます。一方、日本は限られた人の声しか総裁選には反映されません。それなのに、どういった政策の人がいいか、といった質問に象徴されるように、国民が次の総理大臣を選んでいるという錯覚を持たされていることを懸念しています」

 今回の総裁選の投票資格を持つ党員・党友は約110万人。国民のわずか1%ほどにすぎない。候補者と同じく、議員の多くが党内のしがらみのなかで票を投じることになる。

「その票が国民の声を反映しているとは言い切れず、人びとが望んでいる形で新しい方向性が出るかどうかが心配です」

 新型コロナの第5波がピークアウトしたことで、コロナ問題への関心も下火になっている。必ず来ると見られている第6波に向けた具体的な政策議論が不可欠だが、そうした声も聞こえてこない。

「総裁選の後は、衆議院議員選挙(総選挙)も控えています。私たち国民もどの政治家が強いといったゲーム感覚の話だけでなく、新しい総裁の政策の中身に注目し、政治のあり方を議論していく必要があります」

(編集部・福井しほ)

AERA 2021年10月4日号

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福井しほ

福井しほ

大阪生まれ、大阪育ち。

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