先日、「ダウンタウン松ちゃんと爆笑問題7年半ぶりの共演」という芸能ニュースを多くの媒体で目にしました。この出来事にどれほど「値打ち」を見出せるかは、それをテレビで観た人、ニュースを読んだ人によって様々でしょう。決して、大多数が共有できている認識ではないはずです。ちなみに私は、このニュースが伝えんとする「ありがたみ」を、タイトルのみでも充分に理解し興奮できる人間ですが、さすがにこれをあらゆる世代や性別の共通認識として「アリ」とし、やれ「歴史的瞬間」だの「お笑い界を揺るがす」だのといった文脈に落とし込むのはどうかと。多くの世間にとっては知ったこっちゃない共通認識に過信・盲信し悦に入っているようで、なんとも言えないむず痒さを感じます。

 皆さんも今一度、自分の中の「縦社会思考」にかまけていないか考えてみてください。私とて、明日は我が身。何よりもテレビを作る人たち。テレビを語る人たち。あなた方が発信している価値観に寄り添えている人は、思っている以上に少ないかもしれませんよ。

ミッツ・マングローブ/1975年、横浜市生まれ。慶應義塾大学卒業後、英国留学を経て2000年にドラァグクイーンとしてデビュー。現在「スポーツ酒場~語り亭~」「5時に夢中!」などのテレビ番組に出演中。音楽ユニット「星屑スキャット」としても活動する

週刊朝日  2021年10月1日号

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