こうした行動は、今すぐ実を結ばなくとも、続けることで徐々に共感を寄せる人も増えていくだろう。
そしてスタジアムへ足を運んでもらうことと同じくらい大事なのが、来てくれたお客さんに「スタジアムへ来てよかった」と感じて帰ってもらうこと。「応援したチームが勝つ」「ゴールシーンがたくさんある」などが、初見のファンにもわかりやすい楽しさ、面白さだろう。
「チームによって違うでしょうけれども、常に問いかけているのは、お金を払って来てくれたお客さんが何を求めているかということ。アグレッシブなプレーだったり、得点だったり。最後までドラマが生まれるように、自分たちから得点をとりにいくという姿勢は続けていきたいなと思います」(小笠原唯志監督・AC長野パルセイロ・レディース)
そして、その延長線上を進んだところに、これまで男子サッカーしか見てこなかったサッカーファンを引き付ける要素=競技レベルの向上がある。
「今後は、競技の質で、男子のサッカーと比べられる部分もあるので、スピード感だったり、パスの丁寧さだったり、ひたむきさであったりを、プレーに込めたい。そして、私たちであれば『男子チームのヴィッセルも応援するし、女子チームの I神戸も応援する』というようになってもらえればと思います」(星川監督・ I神戸)
今週は、大宮Vと浦和の「さいたまダービー」。そして、10月9日にはリーグの覇権を競ってきたI神戸と東京NBの対決と、注目カードも控えている。開幕効果が一段落して地力を問われるWEリーグだが、1試合平均観客数5,000人に向けて、ステップを踏みながら、進んで行ってもらいたい。(文・西森彰)