岡田:普通は、ご飯を食べないと、心が病んで欲がなくなるものなんです。でもこれだけハードな撮影の中でも山田くんは役作りの欲を失わなかったし、よく耐えてるなって思いました。最後に一番体を絞るところを撮りたかったんでしょうけど、スケジュールが厳しくて。
山田:死ぬ前のシーンを撮ったその日のうちに元気な姿を撮るとかもありました。顔をむくませてでも見た目を戻すために、とにかく食う。1週間で8キロやせた分なんて食えば戻るんで、1日5、6キロのご飯を食べたり。体はめっちゃ重いんですけど、でも楽しかったです。追い込むのが嫌いじゃないんでしょうね。
岡田:体がカリカリの時ってイライラするものなのに文句も言わず……。
山田:岡田さんを中心にしている現場でそんなの見せられるわけないです(笑)。でも「この野郎」っていうのはなかったですよ。ただただがむしゃらに食らいついてやろうっていう思いだったので。
岡田:山田くんは、役者としての技量は、僕が言うべきことがないくらいちゃんとしています。それに加えて、役に誠実に向き合っているところは素晴らしいなと。人柄なんだと思います。
──体のこと以外でも、岡田さんから何か指導やアドバイスが?
山田:岡田さんのことは気持ち悪いくらい観察しました。本当に一つひとつが勉強で。たとえば、岡田さんってカメラのレンズを覗くと画角がわかるんですよ。おかしいじゃないですか(笑)。
岡田:言ったね、「画角わかってる?」って。
山田:画角ですか!?みたいな。勉強不足だったなって思います。僕がわかってないだろうなーって思ったことは全部言ってくださるんで、すごくありがたかったですね。
■言い方悪いけど「化け物」です
──山田さんにとって岡田さんはどんな存在?
山田:もう絶対的すぎて。先輩ではなく人として崇拝しています。僕、他の人ができることって人間だから自分もやりゃできるって思うタイプなんですけど、岡田さんは真似できない。撮影後にちょっと寝てジムに行って戻って来るとか、言い方悪いですけど化け物ですよ、マジで(笑)。このレベルには何年かかっても届かないよねっていうのを目の当たりにしちゃってます。