
「病院にも行けない。けがをしても我慢しています」
と訴える。保険証がないので、医療費は実費だ。風邪はもちろん虫歯も我慢し、よほど体調が悪くならない限り病院には行かない。長男が足を骨折した際も、病院で一度だけX線写真を撮ったきりだったという。
5年前に家族で難民申請をしたが、結果はまだ出ない。そんな男性が最も恐れるのが、入管への収容だ。
仮放免者は通常、2カ月に1度、入管に呼び出され更新手続きをする。今はコロナ禍のため呼び出しはストップしているが、いつ再開するかわからない。呼び出されると、そのまま収容されることもある。収容期間に上限はなく、強制送還される可能性もある。子どもたちのためにも、日本で頑張って生活していきたいと訴える男性。将来の夢を聞くと、こう言った。
「難民として認めてもらい、働いて税金も払って、日本人みたいに生活したいです」
(編集部・野村昌二)
※AERA 2021年10月11日号より抜粋
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