■日本ハム:90点
支配下では12球団で最も多い9人を指名。3年連続Bクラスが濃厚ながら、目先の補強ではなく、将来のチームを考えた指名に見えたところは高く評価できる。その象徴的な指名が1位の達孝太(天理)と2位の有薗直輝(千葉学芸)だ。ともに少し時間がかかるタイプに見えるがポテンシャルの高さは高校球界でもトップクラスであり、将来のエース、中軸候補として期待できる。更に4位の阪口樂(岐阜第一)、5位の畔柳亨丞(中京大中京)、7位の松浦慶斗(大阪桐蔭)も将来性は抜群で、チームのスケールを大きくしようという意欲が感じられた。大学生と社会人も実力者揃い。特に北山亘基(京都産業大)は8位で指名できたのが不思議な投手で、早くから戦力として期待できる。トータルで見ても非常に納得のいく指名だった。
■オリックス:80点
投手陣はリリーフ、野手はセンターラインの強化という狙いがよく見えた指名だった。1位の椋木蓮(東北福祉大)は今年の候補の中でもリリーフタイプとしてトップとも言える投手で、コンスタントに150キロを超えるスピードだけでなく高い制球力も備えている。早くから一軍のブルペンに加わることも期待できそうだ。下位で指名した横山楓(セガサミー)、小木田敦也(TDK)の2人もリリーフで力を発揮できるタイプだ。一方の野手は野口智哉(関西大)と池田陵真(大阪桐蔭)は打撃、福永奨(国学院大)と渡部遼人(慶応大)は守備と特長がはっきりした選手を指名した。特に野口は最終学年で守備が大きくレベルアップしており、あらゆるポジションを守れるのも長所だ。左の強打者タイプが欲しかったチーム事情にマッチした選手と言えるだろう。有望株の多かった高校生投手を育成まで含めて1人も指名しなかったのは少し気になったが、全体的にはチーム事情に合った力のある選手をしっかり指名できた印象だ。
■ロッテ:70点
1位でいきなり高校生捕手の松川虎生(市立和歌山)を指名。将来の正捕手候補が必要なチーム事情はよく分かるが、かなり思い切った指名に踏み切った。2位でも強打者タイプの池田来翔(国士舘大)を指名したが、こちらも少し順位が高い印象だ。この上位2人だけを見ると高得点はつけづらいが、幸運だったのが3位で社会人ナンバーワン投手の広畑敦也(三菱自動車倉敷オーシャンズ)を指名できたことだ。即戦力という意味では今年の候補の中ではトップと言える存在で、来年からローテーション入り、もしくは勝ちパターンのリリーフとしても期待できる。下位で指名した秋山正雲(二松学舎大付)と八木彬(三菱重工West)も特徴のある投手で、特に八木はリリーフとして即戦力の期待がかかる。全体的に有望選手が少ないと見られていた野手を早めに確保し、3位以下で残っていた力のある投手を指名するという流れはある程度成功したと言えそうだ。