視聴者からのコメントには、一つひとつ丁寧に返信する。「『主人が生きていたらこんな食事風景だったんでしょうね』なんて、まるでお手紙みたいなメッセージをいただくんです。画面の向こうにいる日本中の方とつながれるのは幸せです」
女性は、10分ほどの動画を週に1、2本のペースで公開している。その原動力の一つが、実母の遺品整理を通して得た「気づき」だ。
母の趣味だったちぎり絵の材料など大量の遺品を片付ける中、「モノはいずれゴミになり、残された人に負担をかける」と感じた。「でも動画なら、自分の姿を邪魔にならない形で家族に残せるかなって」
幸せも不幸も、人生で起こる出来事はきちんと記録しようと思っている。自分が病気になるときも、そしていずれ死を迎えるときも、だ。
「すみちゃんねるの最後の動画は、自分が亡くなる話がいいですね。お世話になった人に『ありがとうございました』って伝えて終わりたい。あ、でも自分では撮れないし家族も難しいだろうから、誰か撮影してくれる人を探さなきゃね(笑)」
近年のシニアユーチューバーの広まりについて、すみちゃんねるの女性含め数々のユーチューバーが所属するプロダクション、株式会社BitStarの担当者はこう話す。
「以前は若年層が多かったが、今は幅広い年代や新しい視点で動画を発信する人が急増している印象。スマホ所有者は年々増え、YouTubeはもはや若い世代だけのものではありません。年齢に関わらず、動画を通じて視聴者と気持ちを共有できる人は、愛されるユーチューバーになれると思います」
第二、第三の人生、ユーチューバーとして輝いてみるのもアリかも?(本誌・大谷百合絵)
※週刊朝日 2021年10月22日号より抜粋